駐在妻のかたがなりやすいという、「うつ」。駐在妻のうつとは一体どのような状況で、どういう原因で発症するのでしょうか。
私が駐在妻になる前まで持っていたイメージは、キラキラした生活や、充実した異文化コミュニケーション、あとは英語が喋れるようになるとか、そんなところでした。
しかし、実際に生活してみると理想と現実は異なり、そのギャップがストレスに感じることもありました。そこで、コーチングなどでよく利用される『コンフォートゾーン』の考え方をもとに、うつになりかけた駐在妻が自らのストレスの原因と対策案を考えてみました。
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鬱(うつ)になると、どういうことがおきるのか
私には下記のようなことが起きました。
- 朝起きても何もする気が起きず、体が重い。
- 食欲が起きない。
- 常に何かを焦っていて、ドキドキしているような感覚になる。
- 夜、眠れない。
特に週末は緊張の糸が切れて全く起き上がれず、体調が悪くて心配した主人が子供たちを外に連れて行ったりお買い物に行ってくれたりと助けてくれました。
主人をサポートする目的で帯同してきたのに、逆にサポートをしてもらってしまった。
全く!なんてダメな嫁なんだ!!とイジイジしていたら、主人からこう声をかけてもらいました。
先のことをいろいろ考えすぎて疲れているなら、何もしないでぼーっとした方が良いよ。
日本に帰ったら病院へ行って来たら?
あれ?もしかして私、結構鬱々としていたんだ。と、やっと自分の状況に気が付いて、どうしてこんな風になったのかを考え始めました。
そしてふと、なんとなくジャカルタに持ってきていた「コーチング」の本を手に取って、駐在妻がうつになりやすい原因は
- 目標設定のミス
- コンフォートゾーンから離れている
この2つにあるのではないかと考えました。
コーチングとは?
アメリカの心理学者が考案し、現在はビジネスやライフスタイル、いろいろな分野で利用されている夢を実現させるためのメソッドです。参考にした本は記事の最後に記載
駐在妻が「うつ」になりやすい原因はコンフォートゾーンに居ないからだ。
海外で暮らしている人は『コンフォートゾーン』がずれていることで生じるストレスが原因で鬱になるのでは?と考えました。
コンフォートゾーンとは『居心地のいい場所』という意味です。心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指します。
- 例えば、お気に入りの図書館、いきつけの居酒屋、実家、など。
日本人のほとんどは日本がコンフォートゾーンだと思います。
ですがジャカルタの場合は日本食がある程度販売されているので、時間をかけて住み慣れてるとこの問題は解決できる可能性もあります。
しかし、それよりも大きく長期的にかかわってくる問題が『目標設定のズレ』で生じる精神的なストレスではないかと私は考えます。

コンフォートゾーンと自分の目標、現状について。
コンフォートゾーンを目標へ向かってずらしていくことでゴールを達成するのがコーチングの理論です。
どういうことかというと、今まで音楽の勉強をしてこなかった私が、突然「3年後にはショパンの英雄ボロネーゼを引けるようになりたい」という目標を持ったとします。
-
現在ピアノ教室に通っているだろう
-
1年後楽譜を読めるようになっていなければいけないだろう。
-
2年後ある程度曲が弾けるようになっているだろう
-
3年後英雄ボロネーゼを引けるだろう
と、目標から逆算した今現在の姿をイメージします。(いや、2年から3年の間めっちゃ飛躍したね?!)
そうすると、今何もしていない自分の状況に居心地が悪くなってきて、
ピアノ教室に通ってピアノを弾いている自分が心地よい状況(コンフォートゾーン)になるのです。

自分で作ったプレッシャーと、他人から与えられるプレッシャーは全く結果が異なる
上述の通り、きちんと自分が設定した目標の上にある努力は心地の良いコンフォートゾーンになります。
ですが、自分の設定した道ではない場合はどうなるでしょう。
突然話が変わりますが、オリエンタルラジオの中田さんは、テレビでたびたび勉強方針について語っています。
そこで「なるほどなぁ!」とおもったことがありました。
中田さん:『進路を友達に聞かれたら、次の内のどこに行きたいって答える?
ちょっと無理そうだけど第1志望大学A,
第2志望の大学B,
すべり止めの大学C,
答えは大学A!自分は絶対に大学Aに行くと宣言して、落ちたら皆にバカにされるから勉強をしなくちゃヤバいぞ!っていう環境を作ることが大事なんだ。』
と言っていました。
それをきいたゲストが質問します。
『でも、勉強をやらなくちゃいけないプレッシャーとストレスになってダメになっちゃいませんか?』
中田さん:『自分で追い込んでストレスをかけて勉強するのと、他人に追い込まれてストレスを与えられて勉強するのでは全く違う。自発的に追い込むのは、やる気につながる。』
というような会話をしていました。
自分で作ったプレッシャーと、他人から与えられるプレッシャーは質が違う。
目標設定は自分でしないと意味がないんです。
これは海外在住者にあてはめても、同じことが言えるのではと思いました。
駐在妻の精神的ストレスの原因。目標設定のミス
以上を踏まえて、私はこう考えました。
- 憧れのプロジェクトに参加して海外駐在に来た海外駐在員の方
- 海外に興味があって、自分が興味のある国に帯同できた駐在妻の方
- 日本とまったく環境が異なる海外に移住することで、自分の目標へのチャンスが出来た方
この方々は、自分が設定した目標の上にありコンフォートゾーンの中にいます。
- キャリアを断念した、働きたいのに働けない駐在妻の方
- 希望していた仕事ではないプロフェクトに参加してしまった駐在員の方
- その他、何かの目標があったけれど駐在先では断念できないと判断している方
こちらの方は、現状と、自分のコンフォートゾーンが全く違う場所にあります。この人達がストレスを抱えて鬱になるのではないか…と考えました。
例えば私で言うと、
現地で働きたいけど働けない。
保育園を探したいけど、日本に住所がないので現状何もできない、焦る。
住んでいる場所はもうどうにもならないので、この辺は我慢するしかありませんが
自分で間違った目標を設定してしまい、苦しむパターンもあります。
本当の夢と目標設定がすれている場合
目標設定が本当の自分のゴールとズレている場合に起きるストレスです。
私はよくあるのですが、
インドネシア語がペラペラな他の奥様を見て、ヤバい!私もやらなくちゃ!と思ったとしましょう。
ですが、私は本当はフランス語と英語が好きです。
その奥様はインドネシア語を将来仕事に役立てたいとか、現地の人ともっと交流をしたい!という目標を持って、一生懸命に勉強されているのかもしれません。
ですが、私はその奥様とは別の人間で、その目標は私のものではありません。
なのに私がその奥様を見てインドネシア語をもっともっと勉強しなくちゃ!と焦るのはおかしいですよね?
他の人の目標は、自分の目標ではないのです。
なので私の様にすぐに人に感化される人間は、自分にあった目標をきちんと立てたほうが良いのかもしれません。
見かけや聞こえのいい目標に惑わされるな!
あとは、目標を派手で大きなものにしようとしすぎるのもストレスのように私は感じます。
例えば就職の面接で、バイトリーダーをしていました!部活の主将をやっていました!
とか言った方がかっこいいし、受けがよさそうと思いますよね。
でも、私はバイトも部活もしていませんでした。だから就職の時の面接ではこういいました。
『大学時代の四年間、私は毎朝6時に起きてラジオ体操をして、大学が始まるまで図書館で本を読んでいました。毎日私は同じことを続けられる人間です。』
それで今の会社には採用してもらえました。世の中にはいろいろな人がいて、皆がリーダーだったら成り立ちません。毎日同じことを黙々と続けていくキャラクターも必要なはずです。
海外に住んでいれば、予測不能なことが毎日起きます。それでも家のメンテナンスをして、家族で駐在期間を無事に過ごすということだけでも大したことなのではないでしょうか。
そして『家族といつまでも幸せに過ごす』というゴール設定をして達成できたら、凄くないですか?何十年単位のビッグプロジェクトだし、3組に1組が離婚している中でなかなかできることではありません。
自分がどういう人間なのかを考えて、自分の性格と合った夢を持った方が良いのではないか、と思います。
夢や目標ってどうやってみつけるの?
どうやって自分の夢を見つけるの?今どうしていいか悩んでいる…という方は今までの人生の棚卸をするとよいと書いてありました。詳しくはコーチングの本に書いてあると思います。
すぐに見つけるものでもないので、むしろこの駐在帯同期間は自分のことについて考える時間だと思ってゆっくりしてみてはどうでしょうか。
(それでも自分は悩んでしまう方なので、自分へ向けての言葉でもあります。)

駐在妻や海外在住者がうつになる前の対処方法
うつになるような原因を考えてみたとことで、それでもストレスを抱えてしまう!いったいどうやったら鬱にならないで済むのでしょうか?
一時帰国をする
物理的にコンフォートゾーンに戻してストレスを解消する方法です。我が家は一年に一回のペースで帰っていますが、主人は先にも話した通り日本への愛が凄いので、主人と息子だけ今年は2回帰りました。

カウンセリングを受ける
なかなかこっちにいる人には相談しづらい内容でストレスを抱えているのであれば、思いっきり他人に話してストレスを発散するのも手です。
有料ではありますが、 取引件数1万以上を超える大手のオンラインカウンセリング会社を経由して海外からでもカウンセリングが受けられます。
カウンセリング前にいくつかの質問に答え、自分の悩みにマッチしたカウンセラーを割り当ててくれます。
こちらは海外在住者の方を中心に、ボランティアの方が相談員になって下さり24時間日本語でいつでも無料で話ができるオンライン相談デスクです。
カウンセラーは選択できませんが、運よく同じような境遇の方に当たれば、いろいろと相談できます。
私自身、サイトの企画で他の国の駐在妻の方とお話しした時は、とても楽しくて時間を忘れてしまいました。全く違う環境にいる人とお話をする、というのもストレス発散になるかもしれません。


毎晩寝る前に自分をほめて自己肯定感を高める
達成できなかったことばかり目に行きがちですが、海外で生活する事だけでも駐在妻の方って頑張ってますよ!
今日は美味しい料理を作ることが出来た。
すれ違った人とあいさつができた。
どんなことでもいいので自分をほめてあげて、自己肯定感を高めましょう。
駐在妻のうつについて、まとめ。
やたらと長くなってしまって、上手く言いたいことがまとまりませんでしたが、私個人の体験や意見をまとめるとこんなかんじです。
- 日本と離れているだけでもストレスになるよ!海外生活で、毎日家族が無事に過ごしていけるだけでも十分。
- 皆がしているお勉強や習い事は、あなたに必ず必要なものとも限らないから、よく考えよう!
参考にした書籍
参考文献:『苫米地式コーチング』現在は絶版。
↓コーチングの基本的なことを学びたい場合はこちらの一冊で十分。
コーチング・バイブル 本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション
↓ Kindle unlimited で無料で読める本
↓ マンガになっていて読みやすく、子育てにも応用できます。