先日インドネシアの大統領選がありましたが、その選挙委員が次々に過労死したというショッキングな記事がインドネシア中はおろか、世界中でもニュースになっています。
オーストラリアに本部を置く研究機関ローウィー・インスティチュートは、今年のインドネシアの選挙を「地球上で最大、最も複雑な同日選挙」と評しています。
17日実施のインドネシア大統領選と総選挙を受けて、選挙管理委員会の職員が多数死亡したとされる問題で、選管は26日までに、死者が少なくとも258人に上ったと明らかにした。体調を崩した職員は1470人に達した。
選管は、過労が主な原因としている。職員は投票所事務や開票作業のため一般公募で臨時雇用された人たちで、40代以上の人が多かったという。また警察当局によると、投票箱を運ぶ際の事故などで、警官少なくとも18人が死亡した。
地元メディアによると、死亡した職員の中には、投票日前後の3日間、ほとんど休みなく働き続けた人もいた。大統領選と総選挙の同時実施は今回から始まり、事務の負担増が不安視されていた。今回の事態を受け、見直しを求める声が高まっている。政府は遺族に見舞金を支払う方針だ。
有権者数は約1億9千万人で、推定投票率は8割超。選挙の同時実施のため、有権者は計5種類の票を投じており、開票作業は今も続いている。(共同)
THE SANKEI NEWS インドネシアの選管250人超死亡 大統領選と総選挙のW選で過労(2019.4.26 17:07) より引用
実家の母からもこのニュースについてLINEで聞かれました。一体どうしてこんなことが起きてしまったのか?
インドネシア大学を卒業した才女の友人に聞いてみました。また、NNAニュースの記事なども参考に、詳細な数字を追記しました。(2019/5/7)
Contents
とあるインドネシア人の友人が考える、過労死に至った原因
選挙管理委員会以外にも、一般の人もボランティアで選挙のお手伝いに参加していました。
同僚のインドネシア人スタッフは午前中から夜の9時まで仕事をしていたそうです。どうしてそんなに人手がなく、過酷な作業になってしまったのでしょうか?
大統領選と総選挙の同時実施だった
今回はこの国の歴史上初めて大統領選とその他の役職の候補者の総選挙が同時に開催されたということでした。
人口2億6,700 万人のうち、選挙人名簿に登録された有権者数は1億9,300 万人、そのうちミレニアル世代が8,000 万人、全国の投票所数は80 万カ所、選挙で争われた議席数は2万議席、候補者数は24 万5,000人、そして選挙の実施に携わった関係者の数は600 万人にのぼり、シンガポールの人口を超えました。
ジャカルタに住む友人は4枚、候補者を選ぶ投票用紙が届いたということです。州によって候補者数も違うので、多少枚数は違うと思いますが、単純に考えて開票作業の時間は今までの4倍。
投票率は80%だったので、6億枚以上の投票用紙の開票作業が現在もされているということです。
今までにない過熱ぶり
まず、今回の選挙は今までにないくらい白熱した選挙だったということです。
各地で選挙集会が行われ、私も実際政治集会でサポーターが千人以上集まっていたところに遭遇したこともありました。このツイートは選挙の一か月前でしたが、大型バスが何台も集まってきて凄い光景でした。
今日はジョコヴィ派の政治集会があって、なぜかそこの真ん前の道をドライバーがルート選択して車が全く動かなくて地獄だった。しかし日本にいたらこういう光景は見られなかったはず。私にも娘にも良い経験だった。でももう勘弁してねエコさん…😫
— 鳥@ジャカルタ (@Wataridonari) 2019年3月10日
選挙の一か月前から選挙ポスターがジャカルタの街中に貼られていました。
本当に車外を見れば必ず目に入るほど選挙ポスターが貼ってあったのですが、選挙翌日にはきれいさっぱりなくなっていました。
こうした作業も誰かが寝ずにしているのかと思います。
具体的な投票率は80%に達し、2014 年大統領選の投票率70%を大きく上回りました。
ちなみにですが、日本の投票率は53%です。日本は大統領の選出は出来ないので単純には比べられませんが、かなりの投票率の高さです。
プラヴォウォ派の噂により、不正を防ぐ対策がとられた
プラヴォウォV.S現大統領ジョコヴィとの戦いでしたが、プラヴォウォ派から
という噂が立ったそうです。
そのため、今回の選挙は不正が行われないように今までにない仕事を選挙管理委員会はすることになりました。
ある一般人の意見ということで、考え方は人に寄ります。インドネシア人全体の考えでもないですし、彼女はジャカルタ在住のため、ほかの州では見方も状況も変わってくると思います。
このニュースについての動画でより理解できる
さらに、こちらのツイートでは実際どういう風に作業を行っていたのか動画で見ることもできました。河川の上にかかる橋が無いので、細い渡り綱の上を歩きながら,重い投票箱をもって運んでいます。
インドネシアはいろんな島と民族からなる国で、そこから票を集めるだけでも想像以上に大変な作業はだということがわかります。そして、おそらくクーラーの無い施設に缶詰めになって徹夜の開票作業。
選挙管理委員会は大体40代だったということですが、インドネシア人の平均寿命は60歳くらいです。日本でいえば50代の、定年間際の人たちがこんな重労働をしていたんですね。
YOU ARE THE HERO GUYS #IndonesianElectionHeroes pic.twitter.com/nZAaE3Z1dq
— Aini Chairunnisa (@ai_chairunnisa) 2019年4月19日
正式な大統領の決定は5月22日。まだまだ終わらない開票作業
ジョコヴィが勝利宣言を選挙当日にしましたが、実際に決まるのは5月22日。最初は100人越えというニュースでしたが、毎日死者が増えて5月2日時点のニュースでは300人越えになったということです。
スリ財務相は遺族に対し、補償金を支払うことに同意しているそうですが、亡くなった人は帰ってきません…犠牲がこれ以上増えないように祈るばかりです。